研究項目 | 自然災害時の配電設備における復旧対応の高度化 |
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委員長 | 上村 敏(一般財団法人 電力中央研究所 エネルギーイノベーション創発センター 配電システムユニット ユニットリーダー 上席研究員) |
研究期間 | 令和2年2月~令和4年9月 |
研究目的 | 本研究では、電力各社が有する応急復旧に関する知見や機材・工法の確認を行い、より迅速な災害情報の収集・公開ならびにより効率的な復旧方法の検討を進めるとともに、機材・工具などの改良・開発を通じて、復旧対応の更なる高度化を図る。 |
研究内容 |
1) 過去の災害対応状況と課題整理 ①各社がこれまでに経験した災害における課題整理> ②各社の情報収集ツールの共有・好事例の展開および迅速な公開に向けた課題整理 ③各社が有する資機材・工法の特徴を活かした更なる復旧対応の効率化に向けた課題整理 2) 発災直後の迅速な情報の収集・公開における課題検討> ①被災電力会社、およびその他の電力会社が能動的に状況把握・応援対応ができるような情報収集・公開(AIを活用したSNS上の情報分析等)の検討 ②ドローン等を活用した初期の被害状況の把握(強風時・夜間での飛行、飛行時間の延伸、画像のAI解析等) 3) 迅速・効率的な応急復旧に資する車両における改良・開発の検討 ①倒木、土砂、降雪(灰)、濁流等による道路寸断時の迅速復旧の検討(車両関連) ②高圧発電機車の並列運転による応急送電の検討(異メーカ並列運転等) 4) 迅速・効率的な応急復旧に資する資機材等における改良・開発の検討 ①倒木、土砂、降雪(灰)、濁流等による道路寸断時の迅速復旧の検討(車両以外) ②各社が有する応急復旧手法の活用による、更なる工法の高度化の検討 (風台風来襲後の柱上機器の塩洗浄の検討、噴火後の効率的な灰除去の検討等) |
研究項目 | 地中送電設備の保全技術高度化とアセットマネジメント |
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委員長 | 曽我 学(関西電力送配電株式会社 電力システム技術センター 副所長) |
研究期間 | 令和2年7月~令和5年3月 |
研究目的 | 本研究では、地中送電設備保全技術の更なる高度化を目指して、保全技術の実態について調査し、新技術を活用した保全業務の改善に関する検討を行う。また、国内外のアセットマネジメントに関する文献を幅広く調査し、地中送電設備における故障確率や影響度の考え方を整理すると共に、設備投資の最適化を図るためのアセットマネジメントモデルの考え方を構築する。 |
研究内容 |
1)地中送電設備の現状 ①送電用ケーブル・接続部・関連設備の構造・変遷・特徴について調査する。 ②国内電力会社が保有する地中送電設備の設備量推移・仕様別の設備割合・布設形態別の設備割合・経年別の設備量分布等について調査する。 ③国内電力会社が保有する地中送電設備の2019年度以前に発生した絶縁破壊および不具合事例について調査する。 2)ケーブル保全技術の現状と将来展望 ①国内電力会社で実施している保全技術(巡視・点検・劣化診断・補修)の実態について調査する。 ②保全業務を改善するため、ICT・AI・IoT等の新技術を活用した保全技術高度化について検討し、課題や将来展望について提言する。 3)アセットマネジメントの現状と地中送電設備への適用 ①国内外の社会インフラに対するアセットマネジメントの適用事例について調査する。 ②地中送電設備における故障確率や影響度について評価・検討し、地中送電設備形態を踏まえたアセットマネジメントモデルの考え方を構築する。 4)その他 ①各ケーブル設備事故・不具合事例発生状況整理 ②劣化診断・アセットマネジメントに関連する規格整理 |
研究項目 | 架空送電設備の絶縁設計 |
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委員長 | 白石 智規(東京電力パワーグリッド株式会社 工務部 送電技術担当) |
研究期間 | 令和2年10月~令和5年6月 |
研究目的 | 本研究では,S63年(1988)第44巻第3号「絶縁設計の合理化」で取りまとめられた以降,約30年が経過していることから,発刊後の新たな知見や解析技術等の進歩を踏まえた最新の絶縁設計技術を取りまとめ,将来の設備形成における設計の高度化や合理化に向けた方向性を示すことを目的とする。 |
研究内容 |
1)架空送電設備の実態調査 ・架空送電設備の絶縁設計の現状調査 ・塩害,雷害,雪害,風や地震による電線挙動に対する絶縁距離とその対策の調査 ・過電圧の発生頻度,絶縁物の破壊確率などを評価した統計的絶縁設計の実態調査 ・絶縁設計に関する対策品の動向調査(大型特殊がいし,低風圧特殊電線等) など 2)架空送電設備の技術調査 ・架空送電設備の新たな絶縁技術(避雷装置,耐汚損特性に優れる複合がいし等)の動向調査 ・塩害汚損シミュレーション解析(NuWiCC等)による耐汚損設計の調査 ・電線挙動の動的解析(CAFSS等)による絶縁距離設計の調査 ・雷事故様相解析手法(EMTP/XTAP等)による耐雷設計の調査 ・降灰による絶縁体への影響調査 ・絶縁設計の合理化による鉄塔のコンパクト化の調査 など 3)海外の絶縁設計技術調査 4)架空送電設備の絶縁設計技術の方向性検討 |
研究項目 | ディジタル変電所の監視制御・保護リレーシステム |
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委員長 | 横山 明彦(前東京大学 教授) |
研究期間 | 令和3年10月~令和5年9月 |
研究目的 | 本研究では,ディジタル変電所の監視制御・保護リレーシステムの向かうべき方向性を探るべく,監視制御・保護リレーシステムへの国際標準規格適用およびフルディジタル化における課題の共有化を図ると共に,今後の方向性について纏める。 |
研究内容 |
1)変電所監視制御システムの現状 ・変電所監視制御システムの概要 ・変電所監視制御システムの適用状況と課題 2)国際標準規格IEC61850の概要 ・IEC61850規格体系と特徴 ・通信サービス ・関連規格 ・相互接続性の課題と方策 3)IEC61850ディジタル監視制御システムの概要と課題 ・ハードウェアの機能と基本構成 ・伝送構成の課題と対策 4)ステーションバス導入の課題と方策 ・設計開発の課題と方策 ・試験方法の課題と方策 ・保守・運用の課題と方策 ・導入事例 5)プロセスバス適用の課題と今後の展望 ・設計開発の課題と方策 ・保護リレー適用の課題と方策 ・海外の導入事例 ・新機能・情報の利活用への展開 |
研究項目 | 電力系統用パワーエレクトロニクス設備の保全ガイドライン |
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委員長 | 中島 達人(東京都市大学 理工学部 電気電子通信工学科 教授) |
研究期間 | 令和3年10月~令和6年9月 |
研究目的 |
本研究では、2001年に電協研 第57巻第2号「電力系統用パワーエレクトロニクス設備の現状と設計・保守基準」において,事故・障害実績等の調査が実施されて以来既に20年が経過しており、現時点において最新の事故・障害実績等のデータや劣化事例ならびに劣化調査状況を踏まえて,設備更新も含めた適切な保全を実施していくため,電力系統用パワーエレクトロニクス設備(以下パワエレ設備と称す)の保全ガイドラインの作成が求められていることから、そのとりまとめを実施する。 また、東日本大震災以降,各種系統連系の増強が行われており,今後,自励式変換器による電力系統用パワーエレクトロニクスの適用拡大が見込まれることから,自励式変換器を含めた最新のパワエレ設備の技術動向調査を実施する。 さらに、近年ではサイリスタバルブと保護制御装置の想定期待寿命が相違していることを踏まえ,サイリスタバルブ等の変換器は更新せず,先に保護制御装置の更新が実施されている実態があり、このようなライフサイクルコストの最適化を指向した保護制御装置の更新工事を容易にするため、それに必要な設計事項等の検討も合わせて実施する。 |
研究内容 |
1)自励式変換器他の最新技術を含めた技術変遷の調査 2)パワエレ設備の保全実態調査 3)保全ガイドラインの策定 ・パワエレ設備に対して劣化メカニズムや,その設備の劣化状態を定量 的に評価できる指標を検討し,効果的な保全方法を立案 ・過去に発生した事故・故障については,その原因究明結果と対策方法 について整理結果と対策方法について検討 ・パワエレ設備に対する合理的な予備品保有の考え方を整理 4)保護制御装置更新時の課題調査・必要な設計事項等の検討 ・各電力会社が保有する周波数変換設備の保護制御装置のリプレースが 進むことから,変換器は更新せず,保護制御装置のみ更新する場合の 課題の調査 ・変換器・保護制御装置新設時に保護制御装置の更新を容易にするため 設備設置時の反映事項の検討を実施 |
研究項目 | 水車・ポンプ水車および付属装置の工場検査基準 |
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委員長 | 中西 裕二(神奈川大学 工学部機械工学科 教授) |
研究期間 | 令和4年5月~令和7年3月 |
研究目的 |
電協研 第45巻第1号「水車・ポンプ水車および付属装置の工場検査基準」は、平成元年の発刊から30年以上が経過しており、その間には第65巻第4号「水力発電所機器据付検査基準」、第68巻第2号「水力発電所現場試験指針」および第72巻第1号「水力発電所付属設備の設計指針」などの電協研の指針類やJIS・JEC・JEMなどの関係する規格類が改定されている。また、メーカ生産体制のグローバル化が進み海外製作される機器も増加している。 そこで、研究では「ユーザの水車工場検査立会い・審査業務の効率化」および「メーカの検査業務省力化によるコストダウン」の実現に役立てることを目的に、本水車工場検査基準の見直しを行うこととする。 |
研究内容 |
1) 本水車工場検査基準に関係する各ユーザの社内基準、メーカの社内検査基準(国内向け・海外向け)の調査を行い、横並びで整理し、効率化・コストダウンに資するよう基準を精査 2) 電協研の指針類やJIS・JEC・JEMなどの関係する規格類および海外規格を調査し、国内法に適合した検査基準に反映 3) ハイブリッドサーボ等の最新機器の導入状況に合わせた内容への見直し |
研究項目 | 電力保安用通信機械室効率設計 |
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委員長 | 本柳 晃久(東京電力パワーグリッド株式会社 電子通信部 通信ネットワーク技術センター 通信基盤技術グループマネージャー) |
研究期間 | 令和4年10月~令和6年9月 |
研究目的 | 電気協同研究第46巻第6号「通信機械室効率設計」(1991年)は作成以降30年以上経過しているが、昨今の通信機械室においてはIP機器導入による環境の変化や設計手法が異なる。 このため、その実態や通信機械室の付帯設備設計の妥当性について調査・分析を行うとともに、通信機械室の設置に関する各指標の見直し等を行い、環境の変化に対応し た通信機械室の設計開発の一助とする。 |
研究内容 |
① 電気協同研究第46巻第6号「通信機械室効率設計」の更新 ・各項目、図表、数値の見直しならびに更新 ・最新法令・国際規格等の反映 ② 各通信機械室における設備実態の調査 ・電力各社の設備実態、故障状況、作業停止状況、問題点、保守運用技術動向調査 ③ DXやIoTツールを活用した監視・運用方法の最適化 ・デジタル通信機械室を指向したメンテナンス省力化、セキュリティ対策の動向調査 ④ 通信機械室空調設備の標準設計の策定 ・設計、施工、保守運用、ライフサイクルに関する標準設計の策定 ・空調設備に関する最新の分析手法調査 ・通信関係装置設置状況・環境と期待空調設備の容量評価 |
研究項目 | 配電設備の保安および工事の高度化・省力化 |
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委員長 | 野田 琢(電力中央研究所 DX 研究戦略担当) |
研究期間 | 令和4年10月~令和7年3月 |
研究目的 |
配電設備の保安および工事においては、設備の高経年化に着実に対応していくとと
もに、ゼロカーボン化に伴う再生可能エネルギー電源の連系拡大や系統利用ニーズの
多様化、自然災害の激甚化へのレジリエンス強化等、様々な課題に対応しながら、電
力の安全と安定供給に取組んでいく必要がある。一方で、将来的には少子高齢化の影
響により人材不足となる可能性があり、電力の安全と安定供給を将来にわたって実現
していくためには、保安と工事の両面で高度化・省力化を行っていく必要がある。 本研究では、一般送配電事業者各社が有する保安および工事に関する知見や取り入 れている最新技術の調査・整理を行う。更に、電力業界だけでなく他業種・海外も含 めた最新技術の調査や実検証も実施し、保安および工事の高度化・省力化に向けた課 題と方向性を整理する。 |
研究内容 |
a. 保安の高度化・省力化(WG1) ① 各一般送配電事業者の保安の高度化・省力化に関する取組み状況や高度化ニーズの調査 ② 最新技術について、他業種および海外の取組み状況も含めた動向調査の実施 ③ 最新技術の適用に向けた検証を行い、高度化・省力化に向けた要件・提言を整理 b. 現行工法の最適化検討(WG2) ① 各一般送配電事業者の現行工法(用品や資機材を含む)の調査 ② 各社の工法比較に基づく最適化案の検討および実現に向けた検証・課題抽出 c. 工法の高度化(WG3) ① 各一般送配電事業者の工法の高度化・省力化に関する取組み状況や高度化・省力化に向けた取組みを調査 ② 最新技術について、他業種および海外の取組み状況も含めた動向調査の実施(特にロボット技術) ③ 最新技術の適用に向けた検証を行い、高度化・省力化に向けた要件・提言を整理 |
研究項目 | 地中送電設備の施工技術に関する現状と今後の展望 |
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委員長 | 小林 真一(中部電力パワーグリッド株式会社 送変電技術センター技術グループ長) |
研究期間 | 令和5年5月~令和8年3月 |
研究目的 |
近年、DX技術、IoT、ICT、ロボット技術等の最新技術をインフラ事業の施工現場に適用する動きが加速している。また、再エネ電源拡大に伴い、新たな事業者が送配電事業に参画し、実績にとらわれない、新たな設備形成に取り組む動きがみられるなど、地中送電に関する事業環境は大きく変化している。現在、課題として顕在化している増加傾向にある高経年設備の更新工事への対応等を含め、低廉かつ安定的に設備投資を行う上では、これら最新技術や新たな設備形成の積極的な導入が求められる。 こうした事業環境変化を背景に、本研究では、電力以外の業界まで視野を広げ、地中送電設備の施工技術に関する最新動向について調査を行う。 また、国内外の送配電事業者、発電事業者に対するアンケート調査等を通じ、施工に関する新たな取り組み状況を確認する。 当該調査結果をもとに、地中送電設備の施工技術全般の課題整理と、更なる改善策の検討を目的とした研究を実施する。 |
研究内容 |
a. 施工技術の現状 ・設備の高経年化、労働力の減少など諸課題の実態把握 ・地中送電用品と当該用品を用いた施工方法の把握 b. 今後の展望 ・施工効率化に資する技術の整理 ・最新技術の施工技術への適用検討 ・効率化、高度化と安全に関する技術の両立検討 c. 標準工事モデルを用いた改善策導入効果の検討 ・標準的な工事モデルを設定し、現状の工事計画における工事費や工期等を調査する。なお、工事費に関する情報はできる限り実態を調査しつつも、会社の競争環境に影響しないよう留意する。 ・本研究にて調査した高度化技術や効率化策の適用効果や、適用に向けた今後の課題を検討する。 |