電力会社においては、変電所・発電所などの各種情報を安定・迅速に伝達することが求められているため、高信頼度、高品質な通信網が要求されます。IPネットワークを用いることにより、高速大容量・高機能のネットワークを安価に構築することが可能となっており、電力会社においてもIP技術への移行が拡大されるものと考えられます。
しかし、使用されるIPネットワーク機器は、コストや選択肢などの条件から、汎用機器を適用することが主流であり、電気所に設置する場合や電力保安用として使用する場合は、仕様条件、信頼性などが課題となっております。
このような背景から、電気協同研究会は「IPネットワーク機器に対応した電源システム構成専門委員会」を設置し、約2年間にわたる調査研究を進めて参りました。
本書は、その研究成果をとりまとめたもので、電力保安用と業務支援用IPネットワーク機器の電源種別、停電補償、要求仕様、PoE採用などの実態調査結果をとりまとめるとともに、突入電流、絶縁耐電圧やサージなどの対策技術、機器搭載電源の小型化や省電力化傾向などをとりまとめました。
さらに環境条件や電源特性、電気的強度、イミュニティなどの検討に基づき、効率、コスト、信頼性から最適なIPネットワーク機器の電源構成についてとりまとめ、加えて負荷電圧補償回路を有しない直流電源システム構成のあり方と、今後注目していくべき技術がとりまとめられており、電力通信部門の関係者の方々をはじめ、IPネットワーク機器を採用あるいは採用検討されて需要家の皆さま、電気技術者や電気技術者を目指す方々にまで広くご活用いただけるものと確信しております。より多くの皆様からのお申し込みをお待ちしております。