電力会社においては,電力設備の保守・運用業務の円滑な遂行を目的に,情報通信技術を活用したシステムを導入して,業務効率化と高度化を図ってきました。しかし,急速な情報通信技術の発展,いわゆるICT(Information and Communication Technology)の発展と普及により,ICTを利活用することで現在の業務の更なる効率化に貢献できる可能性が高く,電力各社におけるICT利活用について検討する必要があります。
このような背景から,電気協同研究会は「ICT利活用による電力設備保守・運用業務の効率化専門委員会」を設置し,約2年間にわたる調査研究を進めて参りました。
本書は,その研究成果をとりまとめたもので,電力各社で導入されているICTを利活用したシステムの実態,導入効果と今後の課題についてとりまとめられています。また,電力各社で利活用が期待できる最新のICTと,電力会社でも応用して適用が可能と考えられる他業界の事例,適用する際の留意すべき事項,標準化動向についてとりまとめられております。
さらにユビキタス化,自動化,連携統合化を将来求めるコンセプトとして整理し,設備保守・設備運用,業務支援,災害対応の各場面でのICT利活用による業務効率化を提言としてとりまとめられており,電子通信部門のみならず電力流通設備所管部門の関係者の方々をはじめ,電気技術者や電気技術者を目指す方々にまで広くご活用いただけるものと確信しております。より多くの皆様からのお申し込みをお待ちしております。