概 要
近年,再生可能エネルギー電源の「固定価格買取制度」が導入され,太陽光発電や風力発電を中心に,再生可能エネルギー電源の導入が急速に進み,日々の需給・系統運用へ影響を及ぼすこととなった。
そこで,今回,再生可能エネルギー電源の中でも主となる「太陽光発電」と「風力発電」の原理や機能について,あらためて理解促進を図るとともに,これらの連系量拡大に伴う需給・系統運用上の技術課題を整理の上,その解決に向けた現状の取り組みを調査した。また,需給・系統運用の実務にあたり優先して解決すべき技術課題とその取り組みを整理するとともに,将来顕著化が懸念される技術課題を取り上げ,将来の「再生可能エネルギー電源の連系量拡大と安定供給の両立」,「需給・系統運用における再エネ電源の高度な活用」への提言について,海外知見も踏まえつつまとめた。
本報告書は,六つの章にて構成されている。第 1 章では,本専門委員会の設立経緯,研究対象範囲,調査・検討概要などを記載した。第 2 章では,太陽光発電と風力発電の基本構成や特性,系統じょう乱時の挙動について概説した。第 3 章では,アンケートの分析結果を踏まえ,需給運用面における現状の課題と,課題に対するこれまでの取り組みについて述べるともに,残存課題や再生可能エネルギー電源の連系量が更に拡大した場合における中長期的な課題を抽出し,その中から優先的に解決すべき技術的課題についてまとめた。第 4 章では,実施したアンケート分析結果を踏まえ,系統運用面における現状の課題と,それらに対するこれまでの取り組みについて述べるともに,残存課題や再生可能エネルギー電源の連系量が更に拡大した場合における中長期的な課題を抽出し,その中から優先的に解決すべき技術的課題についてまとめた。第 5 章では,実施したアンケート分析結果と第 3 章,第 4 章からの提言を踏まえて,将来に向けて優先して解決すべき技術課題と取り組みについてまとめた。第 6 章将来の展望として,再生可能エネルギー電源の連系量拡大に伴い,今後顕著化が懸念される技術課題とその対応について,海外事例を中心に紹介した。そして,「再生可能エネルギー電源の連系量拡大と安定供給の両立」,「需給・系統運用における再生可能エネルギー電源の高度な活用方法」について,本稿としての提言をまとめた。