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第78巻 第2号
変電設備の保全高度化とアセットマネジメント
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概要
 一般送配電事業者ら(以下,使用者と称す)は,1960年代から1990年代の需要増加に対する設備の新増設により多くの変電設備を保有しており,それらは高経年化が進んでいる実態にある。これらの高経年設備に対し使用者は,設備の信頼性を維持しつつ,点検周期の延伸や個々の設備状態に応じた点検への移行,劣化に対する保全方策の確立などの保全高度化,ライフサイクルコストを踏まえた更新計画の検討など保全の合理化に取り組んできた。一方,省エネなど電力需要の減少による託送収入減少や,電力の小売全面自由化を背景とした低廉な託送料金実現への期待,労働人口の減少に伴う技術者の減少など,電力業界を取り巻く環境も変化しており,設備のさらなる長期使用を見据えた保全や,より一層の効率化,コスト削減が求められている。そのため,設備状態を的確に把握し,設備の寿命を精緻に推定するなど,高度な保全を実現する必要がある。また,高経年設備は順次更新される必要があるが,経年による一律的な更新計画では,費用や施工力,設備の停止制約により,これを実現することは困難である。そのため,長期的な観点による効果的な投資と効率的な設備保全計画の策定が必要であり,アセットマネジメントによる戦略的な投資判断が注目されている。
 本研究では,変電設備全般を対象として,設備量や保全実態,事故・障害実態,劣化メカニズムの分析,保全方策と延命化に関する調査を行った。加えて,保全の省力化や設備診断の高精度化などを実現する先端技術の知見を収集し,さらなる保全の高度化に向けた研究を行った。また,国内外のアセットマネジメントの事例から,代表的なアセットマネジメント手法の概要と,手法に用いる設備状態・影響度の定量化について調査し,設備状態やリスク,経済性の観点により戦略的な投資判断を行うための研究を行った。


要旨
 第Ⅰ編「総説」では,本委員会設立の経緯や研究の概要を示すとともに,報告書の要点を述べている。
 第Ⅱ編「現状調査」では,これまでの電気協同研究(以下,電協研と称す)で調査されてきた変電設備を対象とし,構造と規格の変遷,設備量や保全実態,事故・障害実態の調査・分析結果を機種別に述べている。
 第Ⅲ編「劣化評価と保全方策」では,第Ⅱ編の調査結果を踏まえ,設備の各部位・部品の劣化進展により生じる障害事象を整理している。そして,最新の劣化研究および事故・障害事例より得られた新たな劣化事象とそれに対する保全方策を取りまとめた。さらに,使用者・製造者の設備の寿命を決める根拠を整理するとともに,使用者が実施している延命化策について述べている。
 第Ⅳ編「保全高度化技術」では,第Ⅱ編,第Ⅲ編の調査結果を踏まえた使用者の保全実態や,電力業界を取り巻く環境変化から,保全高度化に対するニーズを整理するとともに,ICT・IoTなどの先端技術を活用して保全高度化を実現する技術(以下,保全高度化技術と称す)を調査した結果を報告している。また,代表的な技術の事例とともに,保全高度化技術の導入促進に向け,必要な取り組みについて述べている。
 第Ⅴ編「アセットマネジメント」では,国内外のアセットマネジメントの事例を調査し,電力流通設備に対するアセットマネジメントの動向と,代表的なアセットマネジメント手法の特徴について述べている。また,手法に用いる設備状態・影響度の定量化項目や定量化方法について取りまとめ,ケーススタディにより変電設備へのアセットマネジメント手法の適用事例を示している。
テキスト価格 会員(CD付)7,700円 非会員(CD付)15,400円
会員(CD無)6,820円 非会員(CD無)13,640円
発刊:令和4年

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在庫あり

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