第67巻第4号
負荷時タップ切換装置の保守・点検ガイドライン

  • 概要
  • 電力用変圧器の負荷時タップ切換装置は,変圧器の運転状態において電圧を調整するものであり,主に変電所用の変圧器に設置されている。負荷時タップ切換装置の保全については,「負荷時タップ切換変圧器(1)(2)(電気協同研究第20巻第5号(昭和39年),第21巻第5号(昭和40年)」において,リアクトル式の負荷時タップ切換器(以下これをLTCと称す)および導入初期の抵抗式(アーク接点)LTCに対する仕様標準化,保守基準がまとめてられている。それ以降,技術進歩に合わせ多種多様のLTCが適用されるとともに,電気協同研究において点検の効率化・高度化の検討がなされ,展開されている。
  • 一方で,経年劣化に起因する事故・障害の発生や,電気的・機械的な耐用切換回数に近づきつつある高経年負荷時タップ切換装置の増加,リアクトル式LTCや旧式の電動操作機構など廃形負荷時タップ切換装置の保守技術の維持など,種々の課題が発生してきている。また,新たに開発され近年適用され始めている抵抗式(真空バルブ)LTCの保守基準についても必要性が高まってきている。
  • そこで本研究報告では,負荷時タップ切換装置に対するこれまでの運転保守経験,設備使用実態,保全実態,事故・障害実態,ならびに技術評価を基に,設備信頼度を保ちながら最適な保全となる保守・点検のガイドラインの策定,および保守技術員などへの技術支援を目的に調査・分析を行った。
  • 細密(吊上)点検は,実施内容およびインターバルが各使用者で大きく異なっている実態にあり,点検費用面や変圧器停止面の影響が大きいことから,点検インターバルおよび点検項目の標準化など,合理的な保守点検指標を示した。
  • このなかで,設備量の大半を占める抵抗式(アーク接点)LTCについては,変圧器の低負荷運転による切換開閉器接触子のアンバランス消耗の発生,酸化スラッジ生成による通電部過熱など,運転条件を加味した保守・点検,ならびに事故・障害経験を基に同種対策の必要性など信頼度向上のための点検・補修内容について整理し保守指標を取りまとめた。
  • また,導入間もない抵抗式(真空バルブ)LTCについては,固有の構造を詳細に確認したうえで点検指標を明確にした。
  • 一方,リアクトル式LTCについては廃形機器であり設置台数も減少傾向であることから,技術員の動向,点検・交換部品の確保など,保守技術の維持に関する内容ついて整理した。
  • 普通点検については,容易な内容であり点検費用面や変圧器停止面の影響が小さいこと,変圧器の保安規程など使用者で点検の考え方が異なることから実施項目を精査するに留め,点検インターバルについては使用者の考え方に準拠することとした。また,巡視については,これまでの不具合経験を基にした管理ポイントをまとめた。
  • なお,全ての形式を対象に,万一負荷時タップ切換装置の事故・障害が発生した場合の対応の迅速化・高度化を図るため,障害発生時対応フローの策定ならびに異常部位判定手法・外部診断手法について整理した。
  • また,第一線職場の保守技術員が複雑かつ多種多様な負荷時タップ切換装置の構造を理解し的確に保守できるよう,負荷時タップ切換装置の技術変遷,構造図,動作原理,および形式ごとの同種対策リストなどの資料やツールを制作した。
  • 本研究報告は,変電所の電力用変圧器に用いられている負荷時タップ切換装置を調査対象とし検討・取りまとめたが,発電所用や民生用で使用されている負荷時タップ切換装置においても,運転状態(変圧器負荷,動作回数・頻度)や使用環境を勘案し活用して頂きたい。

発刊:平成23年

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